beyond the words/大覚アキラ
 
どこか遠くの
名もない寒村の廃屋で
最後の詩人が
おしまいの言葉を
震える手で書き記そうとしている

彼の思考の荒野を
舐めるように滑っては消えてゆく
文字列

この世界の
あらゆる言葉のすべては
いまここで死に絶えた

透明な朝焼けに
鮮やかに浮かび上がる
張りつめたギターの弦のような
冷たい輝きに満ちた空気を
液体を飲み込むみたいに
ゆっくりと吸い込んで

背中から真っ白い翼が
花が咲くように開いたら
力いっぱい羽ばたきながら
上昇気流探して
一気に雲の上に出よう

そして
切り出された水晶のような
ビル群を見下ろしながら
絶滅した翼竜を思わせる力強さで
美しいアールを描け

さあ
目の前に広がる
見渡す限りのすべてを
木っ端微塵に吹き飛ばして

言葉の果ての
その先にある
イメージへ向かって
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