散歩/水中原動機
 
すっかり日が短くなってしまったから
夕方の散歩のつもりが
夜の徘徊になってしまい
帰り道が見つからず困ってるんです

周りにいたはずの誰かも
いつの間にやらみんな帰ってしまって
とても静かで暗く月がほのかに輝き
冷たい風の音ばかり響きます

今日きみに書いた手紙は
地球を赤道直下に250周したあと
高度10000mから投下されるらしいから
ちゃんと空を見上げて歩くように

とつぶやいたら
最初からたくさん持ちすぎて
捨てるのが大変な木の葉っぱたちが
ドサリドサリドサリと降ってきた

ドサリドサリドサリを聞きながらぼくは
帰り道はおろか帰る場所すらなかったことに
ようやく気がついたけれど
そこにはもう漆黒の闇しかないのでした

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