久美さんの脚/渦巻二三五
 
ちは
白いひかがみを見るでしょう
その先は一つ
胴につながっているのです

久美さんが結婚しました
中学校で同じ教室にいた
秀才君と夫婦になりました
教室の机のことは
忘れてしまったのでしょう
これくらいの太さ?
あの汚らしい机

わたくしにも脚があります
お出かけのときはストッキングで覆います
つま先とかかと
それから脚のかたちに引き上げるのです
二本の脚の根本がどうなっているのか
わたくしは知りません
たぶん久美さんも
知らないでしょう

わたくしたちはこっそりお人形のスカートをめくりました

お布団のなかに手を入れてはいけません
と寮監先生がおっしゃったのは
二本の脚の根本を
確かめてはいけないからです



     
初出:1997.12.5. @nifty 現代詩フォーラム
 
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