金魚/肉食のすずめ
 

三十三才のとき
本当に蒸発して消えた金魚

三十三光年先にあるという
金魚の楽園に飛びたった金魚

三十三光年先にあるという
金魚の楽園に飛びたった金魚
を待ち疲れた金魚

ある日
三十三メートルの怪物に
成長した金魚

三十三メートルの金魚に
立ち向かった金魚

三十三メートルの金魚から
逃げ遅れた金魚

三十三メートルの金魚に
気付かなかった金魚

三十三メートルの金魚を倒すため
改造手術を受けた金魚
改造手術に失敗した金魚

三十三メートルの金魚と
相討ちした改造金魚

三十三匹目が自分であることに気付き
悲観した金魚
実は三十一匹目

三十二匹の金魚が
みんな好きだった金魚

三十二匹の金魚が
みんな嫌いだった金魚









でも
それでもいまだに生きている金魚は
飴を舐めながら街を歩く
もう少しうまくやればよかった
あの時
なまじ魚の形を選んだばかり

今日も空に
色のない魚が浮かんでいる

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