重複する世界/yukimura
に恐怖している
一斤のパンのようにそれらはあっけなく
或いは軒下に伸びる一条の蜘蛛の糸
或いは身分違いの恋人の指と指
僕は地図を広げて街中を歩く
或いはかつて一つだった超大陸のように
見知らぬ利権を約束しあう空の下で
ひきちぎられた其々が其々の言語や文化を形成するかもしれない
いくつもの愛と闘争の中で
いくつもの再生と消滅を繰り返し
大きなルーティンの停車場へと辿り着くかもしれない
狭くて乱雑な部屋は回転を止めるもので溢れている
僕は地上の神々を恐れてか
いつの間にこんな場所に迷い込んだ
シベリアの北東にある針葉樹林の更に奥の
絶えず座標を入れ替えて濃霧を閉じ込める
悪戯な森の中へ
僕が助手席の空白に笑顔を向ける時
それは博愛を笑う声帯と共に
薄暗いプログラムの隙間から這い出てくるのだ
世界の融合を望んでいる
今あなたが話していた間に
僕の視界はどこを見て何を収めていただろうか
きっと鋼のような爪先で重力を手なずける
華麗なバレエダンサーだ
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