raindropshotacookiecan/水町綜助
街路灯に照らされた千万粒の雨は透明で
幾条もの細い線が夜のアスファルトに吸い込まれる
上目遣い
僕は小さな赤いアーケードの下でそれを眺めていて
耳には降り始める雨の湿ったにおい
鼻腔には跳ね返る水音ビニールの上
すべての別々の人々の思いが吸い込まれる
静まり返った夜の路地に
照らしてほしいのはこんなサイケデリックネオンサインじゃなかった
かといって真昼の天気雨ならいいのかどうかはわからない
要するに落下点の話だ
ビルとビルの間に落ちたクッキーの空き缶に溜まり
青空の切れ端を映しながらボウフラを湧かせるのか
夜の路地に落ち流れ下水道から海そして空へと輪廻か
ほとんどはこうなる
虚空に揺れてるビルの屋上水溜まり
高貴に誰からも知られないで渇くのか
僕はアーケードの下から上目遣い
人を待っているまたは吉報を待っている
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