心象探訪/
佐野権太
見渡せば、紅(あか)のパノラマ
岩肌の背を辿り
風紋の営みに耳を澄ませば
褐色の陰影、陽炎の揺らぎ
彷徨えば、蒼のカルデラ
火照った靴を脱ぎ
静寂の層流に踝(くるぶし)を垂らせば
藍の魚影、膨らんで、ゆらり
地溝の淵に咲く花より
漏れ出ずる泡沫(ほうまつ)
微かな息吹に寄り添い
細すぎる指先を伸ばす
目蓋を閉じ、鼓膜をゆだね 遠ざけたはずの純朴を探る
彼方より、草色の篠笛(しのぶえ) こころの唄を口ずさむ
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