桜咲くまで/
さち
出会ったとき
あなたの笑顔は
その輪郭も儚げで
僕の硬い指が触れたら
壊してしまいそうですらあった
桜が
もうすぐ咲くわ
紅をさした蕾に
そっと触れてそう言った
あなたの瞳には
ゆるゆるとした哀しみが映ってた
ただ 手を伸ばすことも出来ずに
立ち尽くす僕の唇に
薄紅の蕾1つ
そっと押さえる白い手
僕は ただ立ち尽くしたまま
その冷たい指先に
僕の体温が伝わることを
祈った
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