当院における貴腐死病の一例/たかぼ
性)、芳醇な口臭により貴腐死病の疑いにて直ちに隔離病棟へ入院となる。届け出を介して厚生省より専門家による調査団が組織され直ちに当院に派遣された。診断の結果は亜急性本態性進行性ある意味悪性脱水症(貴腐死病)であった。貴腐死病の治療権は診断病院にあるので当院で治療することが認められた。
当然のごとく一切の投薬は厳しく禁じられているため、少量の飲水と体位変換以外の治療をしないまま発病から13病日で患者はミイラ化して死亡した。この時を待ちわびていた専門家チームによって直ちに体内の全血液が回収され、遠心分離された後、血漿はプログラム・フリーザーを用いた超緩慢凍結法でマイナス196℃に凍結され、厳重なセキュ
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