秋風/
さいらと
明るい空に月は見えない
下弦の月は朝に見るのが美しいのだ
高校生であることがもどかしく
かといって大人の仲間にはなれない
ずっと、迷っていたけれど
後悔はしていない
ただひとつ、澱んだ贖罪の念
夏は過ぎて
秋が来た
それと同じに私は大きなものを無くしたのかもしれない
それが何か言葉にできないまま
白川通を自転車でゆっくりと下る
十六の夏がもう来ないことを、私は知っている
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