空へ空へ。/渕崎。
 
からないことは気持ち悪いと彼女は言って、ある日突然屋上の影で本を読む僕の隣にやってきて実際にプリンに醤油をかけて食べたりもした。
その直後に「あ、わたしウニ食べたことないや」とかいうふざけたことを言い出して、ウニを食した経験のある僕に無理やりそのウニもどきを食わせられたりして、はっきりいってもの凄く不味かったあのウニもどきの味はきっと一生忘れないだろう、彼女の悪戯じみた笑顔と共に。


彼女が一番よく口に出した疑問。
――ねぇ、なんでわたしは生きてるんだろうね?
僕はこう答えた。
――生まれてきたからだろう?
――望んでもいないのに?
――望んで生まれてくるやつなん
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