冬告鳥、海風に吹かれて/たりぽん(大理 奔)
 
ったから
  暖流にも流されないって
  あの月と海、に誓ったよね
  君のお気に入りだった僕の帽子は
  吹かれていったけど
  もう色も模様も思い出せないね
  二人で歩く明日は見えなかったけど
  そんなことすら
  波間に漂わせて


告げるとも言わず
告げぬとも言わず
老木は
ハーモニカになるのです

渡り鳥は影の角度を変え
雲は立ち尽くし
母の糸車がからりと止まり
午後の凪が終わったら


きっちり風は
海へと還っていくのです



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