『ゴースト・ソング』/大覚アキラ
意味もなく淫らで
夕暮れになると
その気配はいっそう色濃くなる
コンビニの前の薄明かりの中
人待ち顔で佇む女は
みな娼婦のように見える
きっとこの女たちは
前世でも
そのまた前世でも
こうやって娼婦のように
誰かを待ち続けていたのだろう
そして
きっと
来世でも
急ぎ足で歩く恋人たちは
はやくも発情して
身体のあちこちを湿らせていて
雨が降りはじめる直前のような
雰囲気を演出している
そんな
噎せ返るほど
濃密な空気の中で
道端の托鉢僧が
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