寝かせ唄/治
ねんねねんねんお休みなされ
吾(あれ)がひふみと数える内に
つると意識を落としんさい
夜毎虫飼うこの腹は / 骨は浮き出て皮ばかり
ゆるく静かに撫ぜてやろ / 肋が指先引っ掛かる
明日にはきっと日銭が届く
ねねちの陰膳奮発しよな
さぁさ目蓋を閉じんさい
ねんねねんねんお休みなされ
吾(あれ)がひふみと数える内に
そっと黙(しじま)に落ちんさい
絶えず息刈るこの胸に / 裏(やま)で見立てた草(くすり)塗り
よれた襤褸布掛けてやる / 手にはねねちの小豆玉
ささくれ唐紙鈴音を招く
冷めた風が気持ちかろ
どうだ増しにはなったかい?
ねんねねんねんお休みなされ
吾(あれ)がひふみと数える内に
早ょお楽土に落ちんさい
薄く跡付くこの頬を / 骨は浮き出て皮ばかり
萎びた掌(ひら)で撫ぜてやろ / 蒸発(あ)がる微熱が引っ掛かる
明日にはきっとねねちに会える
山を幾つも越えられる
さぁさ目蓋を閉じてやろ
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