火、つけてやるから/虹村 凌
二年前にお前が泣きながら
眼を真っ赤にしながら
瞼を腫れさせながら
喉を枯らせながら
スクリーンを滲ませて
キーボードを叩いていたのを
今でも覚えている
彼氏に振られたばかりのお前は
酷く傷ついていた
冷蔵庫は彼氏だった男の好きなもので溢れ返っていて
喉を潤すものを取り出す事さえ躊躇わせた
優しくすればする程素直になっていくお前は
彼氏だった男を今でも大好きなんだと
何度も何度も繰り返す
いいって
もういいよ
眼、真っ赤なんだろ?
目薬あんのか?
瞼冷やせよ
腫れあがってブスになんぜ?
何だったら俺の胸で泣いてもいんだぜ
って遠すぎるんだったな
こん
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