これは詩ではない。/佐々宝砂
 
がしばらく来なかったから、ねえトリルビー、火花をぱちぱちと鳴らしてちょうだい、火をぼうぼうと燃やしてちょうだい、あたしはあんたがきらいじゃないのよ、でもあたしはつまらぬ女に過ぎない、あたしのために掘られた墓はひどく浅い。

自縛? ちがいますのよ。

たまに日のしたに出るとくらくらする、吸血鬼のあたしは友たるゾンビを従えて久しぶりの陽光を浴びる、死ねるかな、今日こそは死ねるかな、灰になろう、埃になろう、風に飛ばされよう、銀の杭に心臓を貫かれよう、聖書に手を置いて煉獄の業火に灼かれよう、ああでもだめ、あたしはまだそこにゆけない、なのにあたしは死んでいる、あたしの血は青い。

自虐? ちが
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