山里の女/
杉菜 晃
験もほしいままに
ますます妖艶に耀いていき
男どもの空想の中にのみ
生き続ける事となった
永久に手の届かぬ美貌の女として
巫女として君臨していった
なかには隅に置けない雌狐のように
把握している者もあったかも知れぬ
しかるに女は
隔絶するのが 己の天性とは
毫も認識していなかった
そこを天界の幕屋と定め
命にとって不可欠な
乳と蜜を
祈りのそよ風にのせて
人界へと送っていたのだ
「詩と思想」掲載作
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