タツノオトシゴの秩序/ブルース瀬戸内
 

口をとんがらせて
今にも歌い出しそうな姿形で
動き回っています。

高速で動く小さなヒレが
音符みたいな泡を奏でて
タツノオトシゴのあとに
続いていきます。

ヒレの速さとは反比例に
ゆっくりと動く
非効率なタツノオトシゴは
秩序を探して、随分と探して
海に譜面を描きます。

自分の生きた後ろにできた秩序に
さっぱり気づかない
タツノオトシゴは
今日も口をとんがらせて
今にも歌いだしそうな姿形で
泡を連れてゆっくりと動いて
なんだか大作を紡ぎそうです。
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