タツノオトシゴの秩序/ブルース瀬戸内
一見、ト音記号のような
タツノオトシゴは
誰のためでもない、その姿形で
何のためでもないかもしれない
秩序を求めて
海中を
ゆっくりと動き回ります。
秩序なんて結局は
何にも解決してくれないのに
と、いっちょまえに
言い聞かせているくせにです。
タツノオトシゴは小さなヒレを
誰よりも速く動かして
何のためでもないかもしれない
秩序を探して
海中を
ゆっくりと行き来します。
秩序なんて結局は
今日も明日も照らさないはずなのに
と、背伸びして
思い込んでいるくせに
一見、ト音記号のような
タツノオトシゴは
口
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