灰色の波紋/結城 森士
 
は出来なかった。わたしは大きく揺れながらその女も同じように揺れていた。                                                              大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、・・・と病気の様に繰り返し呟いていたのは、いつの間にそこにいたのかさえ分からぬ母の声であった。同時にわたしの耳は、アーアー、アー、という幼子の怯えたようなかすかな声を聞いていた。再び瞼を閉じると、わたしは光の川に飲み込まれて消えていくのを感じた・・・・・・。

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