乗り間違えた小熊/砂木
 
地下組織で会おう
幾つもの目が 最後の挨拶のため絡んだ

今だ
男達は いっせいに 監視に襲い掛かった
採掘現場の数人の見張りは 銃で応戦する
あたりは すぐに血まみれの死体の山になったが
幾人かは 四方の山に逃げた

追っ手はすぐにくるだろう
男は 逃げながら囚人服と 穴だらけの靴を
散らかすように 捨てた
犬が来る
少しでも かく乱して 時間を稼ぐ

走った
後ろでは まだ銃声がする
裸足の足が 何かにつまづいて転ぶ
傷のついた足を舐め 走った
暗闇の中 走り続けた

夜が明けた
よし ここを捜せ
囚人護送用の車から降りた軍服の二人が
銃を持ち
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