文学史的演説/ダーザイン
俺は今宵も偉大なる旧ソ連邦国歌を聞きながら焼酎を飲んで寝る。生をつないでいくには大きな幻影が必要なんだ。笑い。
バリケードの中で一瞬垣間見られたであろうえいえん。内ゲバと総括の向こうにあったはずのえいえん。或いは人類史上最大の市民蜂起、クロンショタット反乱や、ワルシャワ蜂起の地下水道の果てに見えた、遠くかすかな光の中に。
今年のモスクワは異常な寒気に覆われていて、マイナス四十八℃とか叩き出したそうな。大勢凍死者が出たモヨリ。二〇世紀という人間精神の壮大な実験場にあって、ふたつの全体主義、ヒトラーのドイツと赤色ロシアはとりわけ異彩を放っていた。(両者の出会いはもっぱら地政学的なものであった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)