天国への調べ/ajisai
な物語を知り
それを詩として語り歌うのも
いろんな人と知り合うのも楽しかった
親の顔も知らない男にとって世界全てが
優しく包みこんでくれる親兄弟の様だった
時には客演に招かれ、歌や音楽を絶賛され
宮廷詩人、専属として仕えないかと
言われたことも多々あった
有り難い話ではあったが男は丁重に固辞した
旅から旅への生活が男の生き甲斐だったのだ
見知らぬ土地の見知らぬ人々
いろんな物を見て回るのが楽しかった
時に冷たくあしらう人もいるけれど
通りすがりの自分の曲に耳を傾け
楽しんでくれる人がいると嬉しいものだ
自分の曲に合わせて皆で楽しく歌ったり
踊ったりしたこともあっ
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