存在 の 底辺 へ/ななひと
 
生殖生物 の 群がる 波打ち際 を 歩く。
私 は 音飛び する 身体 を 持ち
失われた 記憶 の 痕跡 を たどる。
吃音 の ような 世界 に
繰り返し 寄せ 返す 過剰 は
縁取られた 人 の かたち を なぞる。
透明 な 予感 は 不条理 を 指さし
肉体 に 浮腫 を 残してゆく。
振動 に まみれた 視界 から
ゆっくり と にじみ出す 非在 は
存在 の 底辺 へと 私 を 押し流してゆく。
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