白樺とキャラバンと夏の予定と/水在らあらあ
 

逆に
俺を
捕まえてくれ

(いつ燃え上がるか
 分らないんだから)



二.

家の前にある公園の白樺を
その上のほうを
見ていた
風のない日
霧雨で
揺れない葉は濡れて
そこにはあいつが
小さく小さくまるまって
ギリシャ語で
聖書の言葉を
泣きながら
聞こえない
聞こえないよ
そんな
もうよそうよ
おまえが額に手を当てて崩れ落ちるから
俺はほとんど
現代ギリシャ悲劇の
主人公にされちまって
でもおまえ日本食好きだったじゃないか
ご飯ばっかり炊いてたじゃないか俺たち
豆ばっか煮てたじゃないか醤油で
聞こえない
聞こえない
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