十一代目の雀/杉菜 晃
昔一緒に遊んだ幼馴染でもねえんだ
俺を迎えたのは
屋根に一列に並んで囀っている雀だったんだ
俺が家を出るときにいた雀なんか
一羽としていなかった
その頃の雀はみな土になっていた
雀ほど土の色とそっくりな鳥はないからな
雀の代は進んで
八代 九代 十代目の雀が囀っていたんだ
それでも
はかないいのちを哀しむ雀なんか
いないんだ
一羽としていやしねえ
天真爛漫 あるがままを受け入れて
賑やかに囀っていたんだ
背景は空の深い青
白い入道雲
山の稜線を彩る濃緑と浅緑
そのなかに溶け込むんじゃない
自ら風景の一部となって
てんでんばらばら
喧しくも高らかに
雀
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