十一代目の雀/杉菜 晃
 

詩は語らずに歌えって
俺の先生が言った
先生って誰だ
そう訊くから
雀だって言ってやったよ
スズメ?
雀だ 雀だ 雀の学校の先生だ
俺はそう言うしかなかったぜ
だって、その通りだもんな

俺はこの夏 十六年ぶりに古里に帰ったんだ
みやげも みやげ話も なしっこでよ
しゃばのぐち話をひっさげてよ
他に何があるってんだ
俺をまともに扱った奴なんて
一人としていなかったんだぜ
俺はふんまんで爆発しそうになる腹を
何重にも腹巻で押さえ込んで
帰省したわけよ

その俺を喜んで迎えたのは
家を継いでいる兄でもなければ
兄嫁でもない
その餓鬼どもでもない
昔一
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