謎本/freakscene
 
一冊の本を見つけた
夕日の中で時を止めた部屋の中
汗の臭いを体中から漂わせて

表紙には題名がなくて
中身は幾何学的…というより
シュルレアリズム的で
一切の意味を捨て去った文章で
裏表紙には
ベレー帽を被った貴婦人が
ライフルで全裸の紳士を撃ち殺す写真が貼られていた

どう見てもその本は本なんて言えない代物なのに
汗に混じるはずの塩分が
脳の中に染み込んでしまったのか
僕はただひたすら
その本を読みふけった

読み終わった後でようやく気がついた
その本のしおりの絵が
昔 どうしても完成できずに放り出した
ジグソーパズルのだったことに
確か どうしても1
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