地下鉄/佐藤伊織
僕はどこかに休むところは ないかと
さっきから必死に 探しているの だ が
どうも気がつくと さっきから天井の配管を 目で 追っている
だけ のような 気もする。
暖かい空気は肺に入ることを 拒んでいる
さっきから浮浪者が僕を 見ている
僕はさっきから 歩いているつもり だった
さっきから音楽が 鳴り止まない
さっきから目の前の 配管が気になって 仕方がない
巨大な 巨大な電車 が 轟音とともに 僕の前に 迫ってくる
扉が開いた以上
僕は進まなければならない
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