封書/
石畑由紀子
知られたい秘密だってある
けれど口を一の字に結んで
茶封筒と共謀し
あの人の妻 の
手元をすりぬける
キッチンのテーブルでは
ブティックのダイレクトメールが
あの人の妻 に
大声で話しかけていて
私も
葉書になりたい
寒い書斎で両耳をふさぎ
涙をこらえながら
あの人の帰りを待っている
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