ルピナスの眷属/藤原有絵
 
滔々と光の溢れる朝に
絶望を絡げて目覚めても
枯れた肉をしがんで生きてきた

霖々と世界を流す雨に
激情を預けてしまっても
慈愛を秘めて抜けてきた


後に気高い花となる
野生の血統を絶やさぬため


赤い月の夜に
楽園をめざして走ってきた

どんな大地でも種を蒔き
多くの仲間を育んだ

されど
決して群れる事は無く

互いを讃えて別れゆく


生きて

生きて


ただ
強く


その血を残すためだけに
どんな弱さもくじいてきた


枯れた大地で
絶えた血が

後に気高い花となる

たくましく生きる花となる



その名を冠して



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