しましま/夕凪ここあ
 

夕焼けに溶けていってしまったのね、
と無邪気な少女は。

いつからか夜には
絵本を開かなくなった少女は
更けていく夜をじっと見つめる
最後のページを捲ることもなく
本棚にしまわれた絵本のことなど
忘れてしまった少女は
いつ夜が明けるのかも
もう知ってしまった。

少女がまだ少女だった頃に
透明な瞳に映る
夕焼けと薄闇の空の段々を
ただ綺麗だと
思っていた、あれは夏の日。

陽炎に揺らいでしまって
もう見えない、少女の夏の日。}

戻る   Point(8)