しましま/
夕凪ここあ
夕焼けに溶けていってしまったのね、
と無邪気な少女は。
いつからか夜には
絵本を開かなくなった少女は
更けていく夜をじっと見つめる
最後のページを捲ることもなく
本棚にしまわれた絵本のことなど
忘れてしまった少女は
いつ夜が明けるのかも
もう知ってしまった。
少女がまだ少女だった頃に
透明な瞳に映る
夕焼けと薄闇の空の段々を
ただ綺麗だと
思っていた、あれは夏の日。
陽炎に揺らいでしまって
もう見えない、少女の夏の日。}
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