不器用な地底人/
田島オスカー
あなたを作り出したものは
全ての泥の中に潜んでいたのでしょう
紫色の鉛筆を
その指が滑らせるたびにあたしは
真っ暗な底を目の裏に浮かべて
まっすぐまっすぐ泣くのです
パンドラの箱はどのくらいの大きさだろうかと
あなたは笑顔で言ったけれど
人の感情の個々の大きさを知らないあたしは
わかりませんと答えてしまいました
紫色の鉛筆が
いびつに何かを描いてゆきます
泥の中から生まれたあなたは
きっと行く先を知りません
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