my beautiful/安部行人
 

傷口を覗きこみながら
眠るような安らぎのなかにいた


おれたちの傷がふさがる日は来ない
おれたちはおれたちの傷とともに生きる


おれたちの傷から
かわいた白い色の花が咲くことがあったら
その時は手をつないで
微笑みながら涙を流そう


おれは震える唇にその言葉をのせる
おそれのためにかすれる声でささやく
おれの美しいひと、きみに向けて


――愛している、おやすみ。
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