夏/
佐藤伊織
階段を登っているうちに
背中から裂けてしまわないように
いつも注意を払い
吊革に掴まっては
ゆらゆらと
ボウフラは夏血を吸いに
人の群れから
うっすらと伸びていく一本の
茎が
枝分かれをしながら交差点を
覆い尽くす
点滅
夏の夜を
電光せよ
電光せよ
電光せよ
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