夏/佐藤伊織
 
階段を登っているうちに
背中から裂けてしまわないように
いつも注意を払い

吊革に掴まっては
ゆらゆらと
ボウフラは夏血を吸いに

人の群れから
うっすらと伸びていく一本の
茎が
枝分かれをしながら交差点を
覆い尽くす

点滅

夏の夜を
電光せよ
電光せよ
電光せよ
戻る   Point(1)