夕焼けの街/結城 森士
当たる窓際の席にうとうとしながら
僕は少年の影を追いかける
青空はくるくる回っている
追憶の教室に
少女の笑い声が響いている
顔を上げると、
(誰も居ない)
赤い日差しが放課後の教室に差し込んでいる
僕はもう帰らなくては
友達と一緒に
アパートの屋上から
太陽に燃えている街を見ていた
ランドセルを放り投げて
二人で黙り込んだあの日
夕焼けの雨が、
ポツ、ポツ、・・・
友達の目から
夕焼けの雨が
(先生、あの子を傷つけたのは、僕です)
赤い炎が闇に変わってしまう前に
僕は少年の影を追いかける
一本道は強烈な西日で
僕は追いかける
少年の影は廃墟の街に止まり
追いつくと、消えていた
ああ彼は今、僕になった
真夏の一本道は何処までも続く
と思っていたのに、灰色の街が
赤く染まっている
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