シークワーサーの缶チューハイ/麒麟
救われたいために
あの町を出たんじゃない
ましてや逃げたかったわけでもない
ただ、確かめたかった
私はもっと素晴らしい私に
子供の頃に憧れた大人に
じっとりと動けないような
貝殻の中味になるのはごめんだ
出先から家に帰る途中に
ぼんやりとした自分の姿が対峙した
ビニール袋の中味は
シークワーサーの缶チューハイ
私は
随分長い間、いがみ合って来てるのかなぁ…
寝酒に月を見ながら
ふと、問いかける
神様みたいな存在は
やっぱり、今日も私を救わない
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