夜の子供たち/atsuchan69
 

 彼はサングラスを掛けている。
 かなり息が荒い。
 コートも脱がずに立っている。
「君か?」
 男は僕を見つけると真直ぐにやって来た。
「・・・・」僕は一呼吸おき、「ソウダヨ。オジサン」
 裏声で言った。まるで腹話術の人形の声だ。
「・・・・」
 男はひどく顔を歪ませ、僕の真向かいに座った。「ふざけているね」
「フザケテナンカ、イナイヨ。ホンキダヨ」
「もうじきランチタイムだ。大勢、人が来る。それまでに話をつけよう」
 ふたたびウエイトレスが水と御絞りを運んだ。
「ご注文をお聞きします」
「ブレンド」
「かしこまりました」彼女は、さっと退いた。
 僕は裏声を止
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