僕は祈る言葉を知らない/
プル式
全てを捨てて旅に出よう
今まで掻き集めた
宝物がくすんでしまう前に
もうじき夜が明けるなら
穴を掘って
この身を横たえよう
眩しい朝日に
意識が溶けてしまう前に
真っ直ぐに前を向いて
切り過ぎた前髪で
遠くを眺める
手の届く距離でしか
世界が存在しないなら
顔を上げよう
僕は欲しい
僕は 欲しい
未だ呼吸が出来る
未だ季節が分かる
未だ哀しみが分かる
行こう
泣いても
時間は笑ってくれない
行こう
疲れたら
思い出を飲み込もう
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