水槽の魚と夜の蝶/麒麟
見渡す風景は透明な水色
水の中より君を見る
舞う蝶よ
ここでしばしお休みなさい
厚いガラスに気付かぬふりで
我らはしばし寄り添おう
夜になれば
きっと境も忘れよう
羽を休める君と
水流に逆らう我と
触れ合えないが
同じ夜に寄り添おう
そして恋を語るのだ
我が髭の揺らめきを笑うのだ
ため息を、君がつく度に
月色の粉が波をうつ
水の中から眺めていたのだ
朝日と共に
羽は空に溶けた
君は何れかの水色
かの花畑へ帰ったのだろうか
明日はどこをさまよおう
この狭い水槽で
いずれ朝日と共に
我もかの海へ帰るのだろうか…
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