野菜ジュース/松本 卓也
傾けたけど
一瞬の逆流に咽る喉を通過する
何かが絡み合った匂い
嘔吐感が過ぎったけれど
無理矢理流し込んでやった
これくらいの苦渋は今まで
何度かは通過したはずだから
飲み干せば無くなるだけ
飲み込めない数々の理不尽と比べれば
飲み込んできた沢山の不満を比べれば
もう二度と飲まないと
誓った通りに選択できるだけ
遥かにマシなんだから
喉下に残る不愉快な味でさえ
明日の朝には忘れていられるように
僕が飲み込んだ様々な不快も
眠りの中に消えてくれればいいのに
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