プールサイドにて/三州生桑
夏になると、週に二回のペースでプールに行く。
泳ぎに行くといふよりは、体を焼きに。
五、六回通へば、きれいに焼き上がる。
プールサイドを歩くと視線を感じる。
子供連れの奥さんの流し目と、ゲイのじっとりとした凝視を。
女子大生でも来ればいいのだけれど、惜しい哉、この街には大学がない。
ついでに言へば、私の水着は黒のビキニである。
水際で体を浮かせてゐたら、女の子に声をかけられた。
「こんにちはっ」
こんにちはって、ちょっと待って。
女の子と言っても、まだほんの子供だ。
水着の胸に縫ひ付けられた名札で、小学四年生と分かった。まだ十歳。
「ここは駄目なんぢゃないの?」
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