聖フランチェスコについて/ジム・プリマス
 
への暴行など、それは若く多感なフランチェスコにとっては、あまりにも耐え難いものだったのでしょう。
 当時のイスラム教徒の軍隊は勇敢で、長期の遠征により士気の落ちた十字軍は劣勢を余儀なくされ、とうとう撤退することになりました。幸運なことにフランチェスコは命をとりとめ、命からがら自分の故郷にたどり着きました。
 
 あまりにも悲惨な体験をしたフランチェスコは、廃人同様となり、夢遊病者のように故郷の町を彷徨うようになりました。そして、或る日、突然、フランチェスコは自分の着ていた服を群集の前で脱ぎ捨て、裸のままで自分の家に帰ると、父親の大切な財産であった金貨や宝石を窓から放り投げ始めました。群集はそ
[次のページ]
戻る   Point(1)