ひいじいさん/土田
 
縁日の出店で買った亀のショーズーみたいに
ひっくり返されてじたばた家まで帰ってきたらしい

あんたが墓にはいれたのは
じいさんの最後のあんたへの抵抗で
「野ざらしのまま犬にでも食わせて
その犬をおれがまた食ってやる」
なんてこと死に際言ったらしくて
灰も残らぬように三日三晩焼いたらしい
あんたが残したもんといや
額の分からんしみったれた借金と
村じゅうからのうらみつらみと
じいさんの後遺症だけだったらしい
じいさんあんたからもらった後遺症で
ちょっとでも自分が見下されてると思うと罵詈雑言の嵐
とまではいかんけど
春の北海道をそよぐそよ風みたいに
あんたの真似事をし
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