事の終わりが何処なのかを私は知らない。/朽木 裕
 
事の終わりが何処なのかを私は知らない。


知らずに笑う口元を隠そうともせず、
長い舌が這いずり回るは白い夢。


「キスが上手くなったね、」


それを教えてくれたのは貴方でしょう?


部屋には死臭が充満して
生きていることを強く知る。



やわらかな半月を爪弾く指が

クレッシェンド

デクレッシェンド


「ほら、ここまでおいで」


手はいつだって繋いでいる
命も心も繋いだままだよ


だから


事の終わりが何処なのかを私は知らない。
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