揺れもせず、ただ君と/たりぽん(大理 奔)
すぎていくものに吹かれて
川辺で季節におびえ
一掴みの名も知らぬ萱よりも
かほそくゆれ
ただ老いていくことに
腐っていくのでしょう
笹舟のように
未来にむかってちぎれていくものが
時だというのならば
体の中にトロトロと蓄積していく音は
関係にかたちだけを求め
やさしさという名前を
好き勝手に付けて
ただただ
傷つけていくのでしょう
天高く越えていくもの
すべての境界線を越えていくもの
次の生を許されるのなら
渡っていく雁のように
星雲も星座も飛び越えて
でも弱い私は
今はどうしても
ぬくもり、で証明されたいと
幾百の願いで飾られゆれる
星渡りの灯台の下で
きつく抱きしめるのです
きつく抱きしめるのです
そう、揺れもせず、
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