篇/K
 
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水道管が破裂して 
蟻の群は溺れる 
手足をもがれた蛾はなお火を求める 
茶色の革靴が 
軋む床底の一点の光に 
啜り泣く様を 
曲折する雲を道標にした天道虫が立ち寄り 
見遊び笑う 
視姦に耐え切れなくなった皮の繊維は沸騰を始め 
蒸気こそ出ないものの 
雨こそ降らねば止む術を持たなかった 
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川に流された看板を 
必死に掬おうとする少年がいた 
その話をすると 
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