living corpse/宙空 心
う遠い御伽噺(おとぎばなし)
守ったことなどないよ
僕らは多くを失くし過ぎた
もうすり減るばかりで
決して埋まることはない
僕は刀
君も刀
端から鞘なし同士
それでは刃毀れするばかり
刄を研ぐ暇もない
先に刃毀(こぼ)れしたのはどっち?
その答えはすぐわかる
君の刄(やいば)に罅(ひび)が入るから
先に死んだのはどっち?
その答えもすぐわかる
まだ肌寒い桜の下で
僕が君を埋めるから
じゃあ
それを見て泣いたのは?
*short cut*
ただ「さよなら」と
言うことができたらよかったのか
そんなくだらないことは
葬儀屋にでも頼んでくれ
僕にできることは
ただ
君が二度と目を覚まさないように
その喉元を
掻っ斬ることだけ
次の年には
美しい桜を見かけるだろう
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