融和/霜天
 
雨の後には、薄い煙のような街で
君はすっかりと拡散してしまっている
夏は暑すぎて
僕らは重すぎて
渡るつり橋はどこにも見当たらない

この粒の一つひとつが
誰かのため、になっていく
昨日、君が立っていた場所には
水溜りが出来ていて
僕は部屋で、それについて、

一歩ごとに沈んでいく部屋の海、
君が行くというのなら水浸しになろうか



超えられないというのなら
誰にも聞こえないお話をするといい
僕の想像の少し上を行く、君は
君の想像の出来ないことを言う
それらについて
聞いている声はここにもあるから
拡散した君の粒が足りなくても
どうぞ、想像のどこかで
聞いていくために



融和、どこかで
あちらと、こちらで
片手に銃を持っていますから
そんな夢語りより


手を繋いでいると
知らない誰かが万歳をしてくれる
そんな一日もありなんじゃないか、と
誰にも分からない合図で
笑う
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