*詩禁止令第三条*/かおる
策として窓辺で愛のバラードを歌う事も義務づけられ、デートの誘いはまず恋文を投げ入れてからと言うご大層な事に相成った。こうなってくると特例措置や出来合いの詩が金よりも高い値で取引され、ブラックマーケットが出現し、まがい物を掴まされる素人が続出。
闇市場を暗躍する既存の詩人、ポエマーを捕まえるべく特攻警察も組織され、魔女狩りよろしくガリ版で客寄せの詩集を刷っていた吟遊詩人を血祭りに掲げた。しかし、吟遊詩人は旅芸人な訳であるから治外法権という保護下にあり、市中を引き回された後、過分の手当をもらいこっそり領地外に放たれていた。隠れポエマーを探す為の踏み絵を何にするべきか、まだ決まっていない。情報網がこれだけ完備された昨今、地球の片隅のゴルコンダ王国から罰則規制すれすれのものを配信するのは赤子の手を捻るようなものだという事に気がついていないのは騙される人の良い市民だけである。
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